ヨーガ・スートラの「八支則(前編)」
八支則へ進むにあたって注意点が二つある。
まず第一。
あなたは段階を無視できない。
アーサナを達成していないと、プラーナ・ヤーマは絶対に起こらない。
世の中には、この点を履き違えている人々がいる。
わかりやすいもの、簡単なものに走れば、あなたは必ず失敗する。
ヨーガに王道はない。だから探求には多くの時間が掛かるだろう。
忍耐強さを身に付ける気が無いならば、他を当たって欲しい。
その場合、ヨーガはあなたの助けになれない。
次に第二。
与えられるべきは方針であって、方法ではない。
遅かれ早かれ、自分に最適な方法は自分で見つけるしかない。
あなたに求められるのは本質への理解であって、形式への盲従ではない。
ヨーガは信仰ではない。盲従はあなたを無意識にさせる。
それはあなたから注意深さと判断力を摘み取ってしまう。
信仰の対象が欲しいのであれば、他を当たって欲しい。
その場合、ヨーガはあなたの助けになれない。
①ヤーマ(自制)
多くの情報、多くの選択肢は返ってあなたを混乱させる。
「可能性」はあなたのためにならない。それはむしろ毒だ。
あなたは自らの人生に方向を与えなければならない。
良くも悪くも、生き方を限定しなければならない。
散漫で無秩序な生き方は、あなたの人生を浪費させるだけだ。
②ニーヤーマ(規律)
ヤーマでは人生を方向付けた。次のニーヤーマでは生活を方向付ける。
規則正しい生活を実践することによって、
気まぐれな感情や欲望が生み出す混乱からあなたを遠ざけてくれる。
奔放な生活態度は身体の自律神経を混乱させてしまう。
生活に秩序がなければ、あなたの身体は混乱に陥る。
食事・排泄・睡眠という基本的な生理現象は、
およそ一定の周期で行われるべきだ。
生活を方向付けることは、自ずと身体を方向付ける土台となる。
③アーサナ(坐法)
ニーヤーマによって身体にも秩序が生まれつつある。
アーサナとは「身体の深い休息」を意味し、
それは「快適で安定した座り方である」と定義される。
あなたは、その座り方を自力で発見しなければならない。
快適さと安定感を感じるかどうかは、その人自身にしかわからない。
だから誰も教えることができない。
座ることが困難な人は、椅子・ソファー・座布団を利用してもいい。
あくまで目的は「身体の深い休息」だ。
それは無努力によって達成される。努力すると逆に失敗する。
そして身体が深く安らぐと、あなたの呼吸にも変化が現れてくる。